毛玉河原の落書(新)

受験勉強プロデューサー「けだま」こと武田真樹のブログ。

世界史【ドリル型教材】のベストセレクション

習ったことを習った順に、一問一答文章の空欄補充 形式で、網羅的な用語アウトプット作業を行う、そのために使う教材を私はドリル型教材と呼んでいる。
いわゆる一問一答類もこの範疇に入れている。 

 

Ⅰ ライトなメニュー、スピードチェックに。

相田知史・小林勇祐『時代と流れで覚える!』(文英堂)

  

世界史の通史を82課、プラステーマ史3課の計85課に分け、各課見開き2ページ。
左ページに予備校のテキストみたいな一覧表や地図があり、要所を赤シートでチェック。また右ページは文章の空欄補充形式30語前後の用語チェックを赤シートでできる。
中堅私大志望なら必要十分に近い。
MARCHや関関同立以上の上位私大を狙う上でも、基礎力に自信がなければまずこれを完璧にするというメニューがありうる。
逆に、国立を狙う上で、論述練習前の肩慣らしを最小限に済ませたい場合にも適する。

もっとスピーディーなのがこちら。

『30日完成スピードマスター』(山川出版社)

 

 その名の通り世界史の通史をわずか30課に分け、各課ともひたすら2~3ページくらいの文章の空欄補充形式で用語チェックしていく。各60語前後
どんな志望であれ、とにかくひたすら最低限の用語をスピードチェックしたい、という用途向け。

Ⅱ 標準的な量・レベルで通史学習のお供に。

『マスター問題集』(山川出版社)

 

 おおむね、山川出版社のポピュラーな教科書『詳説世界史B』の内容に沿って、そのまま問題集にしたような教材(よって各課均等な形式にはなっておらず、全体の量を数字で表すのは難しい)。文章の空欄補充形式で、細かすぎず大まかすぎず標準的といえる語句を網羅的にチェックできる。地図問題や図表問題、軽い論述問題なども付いている。
よほど苦手かつ時間がないという人以外のどんな人にも、日常学習用の教材として、「まず1冊目」として最適。ほとんどの人はとりあえずこれを使えばいい。これを基礎トレの軸とし、あとは志望に応じて正誤問題集や論述問題集をつけ足せば大抵の大学の対策に必要十分を満たす。

 

なお、市販されていない学校・塾専用教材には、同様の機能を満たすものがある。もし運良く学校や塾でそういった問題集を配布された場合は、それを使えばよい。それがない人には、『マスター問題集』を。

 

Ⅲ ドリル型をもう1冊やるなら。

 鈴木悠介『マルチ・トレーニング』(旺文社)

  

各地域別にタテの通史の構成で、それぞれ、年表・文章・地図の3種類の、基礎・標準レベルのドリル練習ができるという工夫の一品。
教科書の通史順ではないので、「1冊目として『マスター問題集』をやりつつ、中堅私大やMARCHレベルに向けて別の教材で基礎トレをしたい」などの用途に向く。

 

斎藤整『一問一答完全網羅版』(学研プラス)

 

かつての東進の『一問一答完全版』のリニューアル版。出版社がなぜ学研になったのかは不明。一問一答形式で、ごく基本的な重要語句から入試でごくまれにしか見ないような細かい語句も含み「完全網羅」を目指す。難関私大の、しかも語句問題で難問が出る大学(慶應法など)対策に。
もしくは世界史が得意で、各種ハイレベル教材をやりあさる一環として。
東進版の頃から、他の一問一答類に比べて、細かいマニアックな語句のチョイスが類書の中では比較的妥当(「こんなのさすがに知らなくていいだろ!二度と出ないだろ!」というのが少ない)だと思われるので、一応これを薦めている。

ただ、難関私大志望者を含めたほとんどの受験生が、ドリル的な基礎トレは『マスター問題集』をやりこめば十分で、わざわざドリル型2冊目としてこれをやるコスパはそれほど高くない。難関私大入試は語句問題よりも正誤問題や地図問題が難しいのであって、その練習として「入試型」教材をやり散らかしたほうがいい。マニアックな語句問題が出るのは慶應法学部などごく一部の入試に限られる。東進版があまりにも著名でスタンダード化しているので、一応言っておく。そんなにみんながやるような教材ではない。あくまで余力がある受験生が、重箱の隅までさらうときに価値のある教材であって、それ未満のものをやるなら『マスター問題集』の方が使い勝手が良い。

 

上住友起『ターゲット4000』(旺文社)

 

一問一答形式で、ごく基本的な重要語句から入試でごくまれにしか見ないような細かい語句も含む。上の『一問一答完全網羅版』と違って、全体の構成が、全て通史順ではなく、基本・標準・応用のレベル別(その中で通史順)になっているで、マニアックなものだけやりたい、などと用途に使いやすいという利点がある。ただ、それをやる必要性については、上記『一問一答完全網羅版』のところに書いたとおり。